ねえ、僕らの人生は、明るいか暗いかだけで単純に分けられているわけじゃないんだ。そのあいだには陰影という中間地帯がある。その陰影の段階を認識し、理解するのが、健全な知性だ。そして健全な知性を獲得するには、それなりの時間と労力が必要とされる。
今日もいつも通り出勤。緊急事態宣言が出た後、通勤電車の混雑具合は少し緩和した気もするけど、それでも駅構内を歩く人たちは多い。出勤必須の職種の同士なのだろうな…と思う。
退社後、いつもの本屋さんへ向かう…と、休業していた。すぐにスマートフォンで近くの本屋さんを検索しても、時間短縮営業に切り替わっていてすでに閉店後。ついにきた。しばらく本屋さんへは行けないんだ。そう思った瞬間に、ここまで我慢していた糸がぷつりと切れた気がした。ライブも中止になって、遊びに行くのもやめて、休日の過ごし方はがらりと変わったけれど、平日は何ら変わらず電車に乗って出勤し、たくさんの人と接しながら仕事する毎日を送りながら、これは私だけではない、むしろ私よりもずっとずっと過酷な環境で働き続けている人たちだっているのだから、愚痴を言ってはいけない。ずっとそう思っていたけど、閉まった本屋さんの前で盛大に愚痴を言いたくなってしまった。
ここでいつも、こういう事態の中でも働き続けないといけない職種に就いている人だけが大変なのではない、ということを、休めない職種にまさに自分が就いているからこそ思う。いつも"人には人の地獄がある"と思っていて、当然感染リスクの高い環境下でも変わらず働かなければならない人だって辛いが、働きたくても働けない人も相当に辛い。時給制の人は働かなければ収入がないのだから死活問題だろう。それに金銭的な話だけでなく、仕事が趣味の人だっている。趣味のライブ鑑賞ができなくなったのと同じくらい、好きな仕事が思うようにできないことだって辛い。だからいつも"人には人の地獄"と唱えて、気を抜くと"自分が一番可哀想"みたいな顔をしてしまいそうになる時に喝を入れる。
のだけど、それでも本屋さんが閉まっていることに、想像以上にダメージを受けてしまった。本屋さん通いはあまりに自分の日常だった。それに今のこの環境では本屋さんへ立ち寄ることが唯一の楽しみになってしまっている。なので辛かった。でも本屋さんの店員さんも毎日不特定多数のお客さんを相手にするのはリスクが高いよね。本を買えなくても体が死ぬわけではないから(私の心は少し死ぬけど)、今は我慢する時なんだろう。通常営業が再開されたその時はきっと反動で爆買いすると思うので、それを楽しみに明日も働く。
落ち込んだまま帰宅する。が、そのスピードでギネスを獲れそうなくらい切り替えが早いので、もう鼻唄を歌いながらお風呂へ入る。超元気。お風呂から上がって、買ったままちゃんと聞いていなかったSexy Zoneの最新アルバム『POP×STEP!?』を一から聴く。今までSexy Zoneの曲をフルで聴いたことがなかったけど、このアルバムは制作陣に私が普段聴くミュージシャンが入っていること、公式サイトで視聴できる部分だけでもとても好きだったことから購入していた。あまりにスルメソングの『極東DANCE』から始まり(一時期この曲のサビの1フレーズだけが永遠に頭から離れなかった)、『タイムトラベル』、『Blessed』といかにも自分が好きそうな曲が2連続続くところが最高に良い。『まっすぐのススメ!』はサビ前にぐっと音程が上がる部分や金管ブラスが目立つところなど、何となくSMAPの『俺たちに明日はある』を彷彿とさせる感じがした。『Tokyo Hipster』は"サン・サン・サンシャイン 太陽"とか"ホモサピエンス"とか、妙に壮大な歌詞の世界観から私の大好きなモーニング娘。の香りがして癖になる。一つ心残りなのは、このアルバムを聴くにあたって私がSexy Zoneの歌声の聴き分けができないこと…素敵なソロ、ぐっとくる歌詞を、誰が歌っているのかが分からない。要勉強。
Sexy Zoneのおかげで良い気分にはなったけど、今読んでいる途中の廣井脩『流言とデマの社会学』を読む気分にはなれず、せきしろ・又吉直樹の『カキフライが無いなら来なかった』を読む。第二弾の『まさかジープで来るとは』が良かったので遡って買っていた分だ。
全ての信号に引っ掛かりながら早く逢いたい
これを言わせたいジャニーズ選手権をするなら、私はSnow Manの阿部くんです。